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俺流物語|NY編 第1話「俺の語録は海を渡った」
匝瑳の空気は、人肌のようにぬるく、どこか懐かしかった。
だが、今この街――ニューヨーク。
乾いた風が肌を裂き、言葉すら鋭利になる。
語録を背負った男は、その異国の地に降り立った。
"旅"ではない。"宣戦布告"として――
語録の魂が、海を越えて、今、動き出す。 空気が違った。 匝瑳で吸ってた空気はもっと湿ってて、ぬるくて、どこか人肌みたいだった。けどここニューヨークは、乾いてて、鋭くて、言葉が飛び交う音すら風の中に混じってる気がした。 成田から乗った飛行機は13時間。語録Tシャツを抱えて、太平洋を越えてきた。家元の荷物はインクがにじんだ語録ノートとポマードのみ。 「ワシは“旅”に出たんやない。“宣戦布告”に来たんや」 そう呟きながら家元が降り立った夜、向かったのは“バーDIO”。カウンターの奥から現れたのは、日本編で語録をともに届けた幼なじみのマスターだった。 「やっと来ましたね、家元」 「待たせたな。ここから、もう一回始めるで」 異国の街での再会。その夜から、二人は再び行動をともにするようになった。 後日、家元はポケットから一枚の写真をマスターに見せた。古びたTシャツを着た若者が、タイムズスクエアで背中を向けて立っている。そのTシャツの背には―― ――《笑われたまま終われるか》 「この写真や。SNSで偶然見かけた。ワシの語録が、勝手に海を渡っとった」 それは、誰かが無断で刷った模倣品だった。けど、家元は怒らんかった。逆に震えた。 「魂は、国境を超える。せやけど……届けたかったのは“言葉”やなくて、“生き様”や」 ホテルの一室。Wi-Fiは不安定、壁は薄い。だがテーブルの上にはプリンターと語録ノート。家元は黙々とTシャツに語録を刷っていく。 ――《自信はあとからええ。今は叫べ》 「叫ばな伝わらんことがある。“気づいてもらえる日”なんか、待ってられへん」 部屋の隅に積まれたダンボールには、30枚を超える語録Tシャツが詰まっていた。窓の外には摩天楼が無言でそびえ立ち、異国の街が家元を試すように見下ろしている。 その翌朝、マスターは一人、地下鉄の構内に立っていた。 「家元が嫌がってるのはわかってるんすが、でも、俺にはわかるんす。これが“拡散”の第一歩だって!」 地下鉄構内で始まった地域広告企画の許可済みスペースに、語録ポスターを掲出していく。 ――《迷うな 言い訳や》
――《心折れたら、書き直せ》 掲出を終えると、駅員が許可証を確認し、静かにうなずいた。 その夜、バーDIO。 NYの片隅にあるマスターの小さな店。家元はいつもそのカウンターの端に座っていた。ホテルより静かで、酒も語録もよく沁みる。 「おいマスター。お前……また何かやったんちゃうか」
「え?な、なんのことっすか?」 「地下鉄で語録が貼られてるって、地元の掲示板に書かれてたらしいぞ。……ワシは関与しとらん、ってだけはハッキリ言うとくわ」 「いやいや、俺も見ただけっす。誰かが勝手に貼ったんすよ、たぶん」 家元は氷の溶けたグラスを見つめながらため息をついた。 「“言葉”はな……勝手に暴れる。せやけど、暴れさせたんは誰かっちゅうのは、いずれ見透かされる」 その夜、ホテルに戻ったマスターは、息を切らしながら語る。 「家元、あの語録、誰か撮ってたっすよ……。インスタで拾ってくれたら、バズりますって」 家元はプリントを止めることなく、ただ呟いた。 「ワシは“バズる”ために語録を刷ってるんやない。“刺す”ためや」 翌日。
家元とマスターは、地下鉄のホームを歩いていた。 マスターは家元に語録Tシャツを着せ、そっと囁く。 「貼るのがダメなら、“着て歩く”。それでも伝わるっす」 家元は頷いた。 「せやな。“語録”は見せもんやない。背中で叫ぶもんや」 ――《悩むな 飲み干せ》
――《止まるな。止められるまで走れ》
――《笑われたまま終われるか》 人波のなか、語録Tシャツが風を切って歩く。ひとりの若者が立ち止まり、スマホを取り出して撮影した。 その若者は、目を細めてTシャツの言葉を読み返した。 「……たった一行なのに、刺さるな」 マスターがそっとガッツポーズを決めた。 家元はその様子を知らず、ただ無言で歩き続けていた。その背中は、何も語らず、しかし確かに“何か”を放っていた。 たかがTシャツ。されど、語録。かつて、街角でひとり語録を叫び、Tシャツに命を刻んだ男がいた。名前は「家元」。 彼の作るTシャツは、ただの服じゃない。着る者の人生を変え、見る者の胸に火をつける――。 『俺流物語』は、言葉を武器に世界を揺らすアウトローの半生を描いた熱血語録ドラマ。笑って、泣いて、叫んで、心をぶん殴られる準備はできているか?読めば“語録”が欲しくなる。観れば“魂”が燃え上がる。 物語はここから始まった!! この物語は、俺流総本家の歩みをもとに創作したフィクションです。登場人物・団体・出来事の一部には物語上の演出が含まれます。俺の語録は海を渡った







